ピューリッツァー賞受賞ジャーナリストによる”物流・交通”の現実を描いたハードブック。
本作は、インターネット前提社会となり意識することが少なくなった物流や交通といった”実世界での移動”を強く意識させてくれます。13章構成となっており、各章で異なった視点による移動の現実を描いています。例えば、ある章ではアメリカ海運の最大基地の物流量細かく記しており、ある章では部屋に落ちているアルミ缶を原材料の調達から加工工程まで紐解いています。
本書での定義されている課題は多くあるが、いくつか印象に残ったもののみ紹介。
・物流コスト低下・インフラ充実により世界中の業者と取引ができコスト削減ができるが、その資材・商材の移動による環境負荷は考慮されていないということ。
・車依存社会の時流で自動車インフラを整備してきた。だがシェアリングエコノミーやミレニアム世代の節約志向が台頭してきたことによる自家用車の交通量は減ってくるという予測。そしてその反面、物流需要が増加するためトラックの交通量が増えてくる。この2点の交通量の変化から老朽化したインフラの再整備が求められる。
インターネットで様々なことがこなせるようになった今、実世界の移動というのはあまり意識する機会がない。だからこそ読む価値のある作品です。
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