東京大学の文学研究者総勢16名による、文学研究を論じたエッセイ集。
天神で飲んだ後、まだ帰るには早いなぁという時にハマっていることがある。
それは1000円という予算の中で古本屋で普段買わないような本を買い込むことだ。1000円あれば5,6冊は悠に買えてしまう。そんな中で手に取ったのが本著だ。
100円で手にしたんだけども、内容は自分のほおをぶん殴るくらいに濃密な内容。小説だとか好きだったりしたんだけども、どのように読み解くのか、そこを入門的に解説している。
本書の構造なんだけども、
テクストの読解 / 書くこと・読むことのダイナミズム / 文学とその外部 と3部構造になっており、それぞれに東京大学の講師陣が寄稿している。
第一章「テクストの読解」では物語論をはじめとしたテクストの構造把握の分野を網羅している。
第二章「書くこと・読むことのダイナミズム」では作品から視野を広げ、作品と作者・読者の関係、あるいは生成論といった作品をテクスト外へと拡大して分析する手法を紹介している。
そして第三章「文学とその外部」で作品と時代背景の分析についての分析だ。同時代性のないものであればなかなかどのように分析するのか素人目には難しい。実際の例を示しながら、作品の背景をどのように分析すべきかが記載されている。
方法論や体系だった知識も面白いが、各講師陣によるケーススタディも面白い。日本文学にとどまらず、アメリカ、ヨーロッパ、香港、中東などの文学にも触れることができグッと視野が広がる1冊となっている。