村上春樹氏による長編小説。


肖像画家の主人公・”私”が6年間連れ添った妻との離婚をきっかけに名日本画家・雨田具彦のアトリエで暮らすこととなった。その家で”騎士団長殺し”と名付けられた雨田氏の未発表作品を見つけたことから彼には奇妙な出来事が重なっていく…


 

村上春樹氏らしいモチーフ(異世界、小人、穴など)が多く登場した印象を受けた。そして何より、著者の政治思想が色濃く出ています。例えば史実としては論争の最中である、南京大虐殺についてははっきり事実として本編に組み込まれています。そして、作中に出てくる穴の壁について免色が述べていること。トランプ米大統領が掲げるメキシコとの国境壁について著者の意見を代弁しているんじゃないかなと思えます。

The New York Times Magazineの取材に対し、市民として声にすべきことは声にする責任があると述べています。そう言った著者の意向が他の作品に比べ反映されているように僕は思えました。