ジョンズ・ホプキンス大学の社会学・社会階層論専門の著者による世界各国のアコーディオンファミリーに関する調査を取りまとめた著書。
日本でいうところの”パラサイトシングル”なんて社会問題化して取り上げられたのが2000年代。ただ本書で紹介されている親元暮らしをする若者及び家族をひっくるめた”アコーディオンファミリー”というのは決して否定的でない。(ただし暫時的な手段で長期的に有効でないという示唆は結論でまとめられてる)
日本では可処分所得が上がらない、教育に対して社会保障も不十分、そんなネガティブな理由から親元暮らしする学生が多い。各国もだいたいそんな理由なんだけどもポジティブな面で様々な捉え方が紹介されている。(ここら辺は中盤、全体の1/3くらいかな。で書かれているんだけども、見ていてもウンともすんともつまらなかった。各国のエスノグラフィ調査をまとめているものだし。)
さて、こんなアコーディオンファミリーはもっとマクロな視点で捉えると人口減少に繋がっていく。で、それに対する移民政策の是非だ。
移民政策は国それぞれだが、アメリカをはじめ先進国諸国で経済面ではうまく機能している。ただし社会保障や文化の軋轢なんかもひっくるめ長期的には否定的に捉えているのが著者。
本書が書かれたのは2012年で直近の反移民思想の潮流はもちろん盛り込まれていない。ただ移民政策を考える上でひとつ参考になるような本。