日本を代表する小説家・川端康成氏による名作小説。

日本人なら一度は耳にしたことであろう昭和の名作家、川端康成。福岡出身の僕には”川端”なんて言葉は自然と”中洲川端”って紐づけてしまうくらいにとても身近で、そんなんだから「いつか手に取るだろう」と保留にしていたんだろう。

 

最初に手に取ったのが本作でよかったなぁ。その後何作か手に取って見たんだけども、とても著者らしい艶のある文章は本作が1番かなぁ。

本作は3作品収録してあるんだけども、やっぱり表題になった”眠れる美女”というのが美しい。

 

すでに歳を召して男としていきていない老人を顧客とする宿が1軒。

そこでは1晩を若い女子とともに過ごす。

ただその女子らは部屋に入ればすでに深い眠りについている。

肉体の交わりがなければ、会話もない。

そんな宿を知人に紹介された”男でありたいと願う老人”が、眠りについた彼女らと過ごす時間を経て若くあろうとする自らと自らが出会ってきた女性らとの日々を反芻する。

 

非常に艶かしい文体で描写される少女たち。動作は一切ないのに彼女らは甘美につややかに描かれる。

それに対して老人は内省を繰り返し、彼女らと会うごとに年老いていくことを認めていくよう。

 

全集欲しいなぁ。