日本を代表する文豪・川端康成氏による短編集。
言わずもがな、著者の代表作。
収蔵作品は 伊豆の踊り子 / 温泉宿 / 抒情歌 / 禽獣
この4作品。やっぱり僕が気に入ったのは 伊豆の踊り子 だ。
理由は著者本人が経験した体験を元に著した作品だということ。
一校在籍時代に寮から抜け出した著者は8日間、伊豆を旅している。
その時の体験を元に作品を描いている。
思い出は当の本人にとってはとても美しいもの。
それに”The truth is stranger than fiction(真実は小説よりも奇なり)”なんて言葉があるように実際の出来事の方が面白いものだ。
ただどうしても人に伝えるとチープになるし、共感しづらくなる。
著者は自身の分身として”私”に話の主人公の役割を託している。
川端氏は主人公としてでなく作家として、物語を脚色する。
思い出を作品に昇華させた。
だから多くの人々が物語としてのめりこめる。
作品としては雪国や眠れる美女なんかの血の通った生身の人間を感じるような艶かしさがあって好きだ。
僕もいつかはうまいこと表現したいなぁ。