世代を超えて愛される児童文学の名作。
主人公は廃墟となった古城に住む少女・モモ。彼女に話せば自分を取り戻すことができる、いわば聞き手の名手。街の誰もが彼女と共に過ごし、温かな日々を過ごしていた。
そんな街に忍び寄る灰色の男たち、時間貯蓄銀行を名乗る時間泥棒だ。彼らは言葉巧みに人々と契約を交わし、時間を搾取する。そのために人々は短時間に効率よくせかせかとした世界となってしまった。
モモはそんな人々と彼らを救うために時間泥棒から時間を取り戻す物語である。
この物語の捉え方は様々だろう。それは児童文学だからこそ。
子供は想像力を培い、大人は余白にそれぞれの物語を重ね示唆を見出す。
私たちはついつい豊かな生活にとらわれる。資本主義の社会ではそれは財産だ。
蓄え、お金があればあるほどに幸せだ。
しかし、それに疲弊し、違和感を覚える時には駆け込むようにモモの作品に飛び込みたい。
未来の自分に託したい一冊。