京都大学アフリカ地域研究資料センター機関研究員の座馬耕一郎氏によるチンパンジーの睡眠についての考察が記された新書。
霊長類の研究は人間のあらゆる原始に通ずるものを解き明かすという点で非常に興味深いです。そしてチンパンジーは最も人間に近いと言われています。そんなチンパンジーの睡眠についての考察が書かれています。
ベッドを作ることを紐解いていきながらチンパンジーの睡眠が解き明かされていく本書。人間の睡眠とも相通ずる点や相違する点も固くない文体で紹介されており、多くの人に読みやすいものになっています。
タイトル通り、チンパンジーは稀な例外を除いて毎日ベッドを作るということです。人間に近いチンパンジーですが巣などを作らず定住しないため毎日移動して日が暮れる前からベッドを作るそうです。毎日作るベッドは習性や快適性を考慮したもの。(人間工学ならぬ、チンパンジー工学とでも言いましょうか。)
ベッドは天敵に捕食されないよう、高い木の上や低い木の細い枝先で、複数の枝を編み込み、拾ってきた葉のついた枝を敷き詰めて作ります。大枠は数分で仕上がるものの、寝ながら「あーでもない」「こーでもない」と試行錯誤しながら少しずつ木の枝を足していくため正確に時間を計測できないそうです。加工技術は曲げる・折る・切って置くと単純ながらベッドは通常で3-4ヶ月、長いもので観察されているものでも1年2ヶ月も形状を保つそう。これはもう職人の域です。
木の実がなっている木にベッドを作るそうですが、寝ながら食すためとのこと。丁寧に寝心地を追求したベッドで美味しい木の実を食べながら過ごす。チンパンジーを見習ってぐうたらを極めたいものです。
コメントを残す