西加奈子氏による、少し疲れたOL”百合”を主人公とした小説。
百合は他人の目を気にしすぎるあまり、小さなミスで泣き崩れた職場を離れ引きこもりの日々を送っていた。そして四国の離島の小さなリゾートホテルへと突発的に訪れた。旅路やリゾートホテルでの彼女の自信を取り戻していく様、そして長年拒否していた鬱陶しい姉の存在を受け入れていく。
大変読み心地の良い小説でした。小説に登場する人たちはどこか闇を抱えており、それを受け入れていく様子を女性的な優しい文体で描かれています。
ホテルの図書室でのこのシーンがお気に入りです。
「じゃあこの部屋、邪魔、というか、別にいらないですよね。読む人、まぁ、坂崎さんがいますけど。客で、読みに来る人いないんだったら。」
「うーん。でも、本を置きに来るんです。吸収するだけじゃなくて、置いていくことも必要なのかもしれない、と思います。」
-文庫本 うつくしい人(著 : 西加奈子) p206,p207より引用-
ちょっと疲れた人にオススメしたい一冊です。
コメントを残す