ATTENTION SPAN-デジタル時代の「集中力」の科学-を読んだって話。
心理学者・情報科学者 グロリア・マークによる著書。
デジタルデバイスやSNSにより現代人の集中力が断続化しているかを指摘している。
残念ながらこの本を読めば革新的な方法で集中力が向上するわけではない。
明示された解決策は「もしここでSNSを始めたら目的が達成できないからSNSを見ない、そんな決定を意識的に行う」というもの。肩透かしを喰らうようだが、本著ではなぜ現在の集中力が短縮しているかを具体的に指摘している。メカニズムを知るための本である。
現代においてデジタル機器への集中力は47秒しか継続しないというマイクロソフトリサーチ時代の研究を引き合いに出している。(2004年は2分30秒だとのこと)このセンセーショナルな結果に筆者はアテンションスパンと題し、近年低下する集中力を紐解く研究を始める。
テレビをザッピングするように人々は仕事の合間にSNSを回遊する。あるいはキャンディクラッシュのような単調なゲームを楽しむ。これらは集中力の低下を誘引しているだけのようだが、実際は異なる。実は疲労や集中力が途切れた際に、限られた認知リソース(集中力のHPのようなもの)をあまり消耗しない能動的な行動として無意識にとっているのだ。この限られた認知リソースは運動やガーデニングといったリフレッシュをすることで補充することはできる。
気の散りやすさはこういった認知リソースや1日の中で変動する集中力のリズム、個人の性質(パーソナリティ)、テクノロジーの設計、感情的報酬に訴えるものかどうか、社会的な圧力(周囲の人間はどのような行動をとっているか)、環境内のさまざまなメディアなど複合的な要因で変化する。
意識的な決定と自動的な決定は全く性質の異なるものであり、両者は脳の別の部位から生じるという。自動的な決定に抗うには意識的な決定である。
1日の計画や目標を立てるなど、当たり前のようだが主体性をより確立することがデジタル機器に翻弄されない強固な行動を行うことができる。